ヨーロッパの源流“ケルト”を訪ねる
ケルト人は神々・妖精とともに暮らし、自然のすべてに精霊が宿っていると信じていました。現実の世界と神秘な世界を結ぶのは神話であるとし、自らの文字を持たなかった彼らは渦巻きや組み紐紋様によってその心を表現しようとしました。これがアイルランド各地に残る独特のケルト紋様なのだと言われています。ハイクロスと呼ばれる丸い輪のついたアイルランド特有の十字架には、複雑なケルト紋様とともに聖書のエピソードが彫刻されていますが、これは読み書きが出来なかった人々にその教えを説くためであったとされています。独特のケルト紋様はやがて装飾美術として世界にその芸術性を認められ、以後のヨーロッパ美術界に多くの影響を与えてきました。ダブリンのトリニティー・カレッジ旧図書館に収められている聖書の福音書『ケルズの書』は、その壮麗な装飾で当時の高度なケルト美術の集大成とされています。ケルトとキリスト教的なものが様々な文化遺産として現在まで残る緑の大地、アイルランド。現代のヨーロッパの表舞台とは異なる独特の生活様式・風俗・習慣・伝説を生の文化として日常的に触れることが出来るのです。世界に現存する数少ないケルト文化、そしてその美術の痕跡をみられることがアイルランドを果てしなく幻想的な地にしています。

欧州各国の花々に彩られた個性的なガーデン
メキシコ湾流がもたらす温暖で湿潤な気候から、アイルランドでは年間を通じて比較的長い期間花を楽しむことができます。アイルランドの庭園の特徴は、植物の種類の多さと庭園様式の多様性にあります。これらの庭園文化を生み出すきっかけとなったのは、宣教師達の大陸との交流であり、彼らの手により持ち込まれた多くの種子や植物が温暖なアイルランドに根付き、次第に庭園を彩っていきました。そして18世紀になり上流階級の子息が大陸で人生経験を積む「グランド・ツアー」が盛んに行われるようになると、イタリアやギリシャなどのヨーロッパ大陸の文化の影響を受けた様々なスタイルの庭園が造られるようになったのです。
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